画竜点睛 クリエイターインタビュー

柴原誉幸×三澤崇史さん
CG製作における時間とコストについて

写真撮影、画像加工、CG制作によるビジュアル制作を行っているSTUDIO TECは、元々カメラマンであった代表者による撮影会社だ。起業当初はセットを組んでの撮影、広告や見本帳に使われる写真の制作を行っていたが、デジタル写真の普及からPhotoshopを導入してみたのがCGでの業務を行うことになったのが始まりだという。デジタル技術を導入したことによって業務が圧倒的に速く、楽になったそう。
そんなSTUDIO TECに所属しているCGクリエイター、三澤崇史さんは、写真と見違う程リアルな建築パースを作り上げるプロフェッショナルである。徹底的に作り込まれた作品からそのこだわりと探求心の強さが伺えるが、その割にパソコンの性能に対するこだわりはさほど強くない──らしい。CGとマシンについて、率直な意見が聞けそうだ、といういうことでインタビューをお願いした。制作現場についての裏話も聞けることを期待しつつ。

三澤崇史さん:あっ、これ録音するんですか?証拠に残らないなら何でも話すんですけど!
柴原誉幸:大丈夫大丈夫!今日はなんでも喋ってもらおうかと!俺もなんでも話しちゃうから!そんな感じで今日は宜しくお願いします!

以下、三澤さん=〇、柴原=■

リアリティに欠けていたCG導入当初

■CGを導入しだした当時はどう使ってた?当時の印象は?
〇昔はPhotoshopで写真と写真素材を合成して、合成の隙間はスタンプツールでざっくり埋めて、足りないところは描いちゃうとかやってたんだけど、3DCGが使いやすくなってきた2000年頃からは合成用素材を3DCGで作るってこともちょいちょい出てきました。あれ位の頃から3DCGが徐々に巷に広まって、キャラクターやロゴの制作に使われるようになりましたがまだまだリアリティに欠けていましたね。うちは写真に見える物を作らなければいけないので、本格的に導入にはCGが普及してから若干かかりました。2006,7年位からかな。ただフル3Dはきつくて、当時はまだリアリティは足りないし、合成用素材用CGを作っているだけだった。作業時間も恐ろしくかかっちゃうから撮影の方が早いということもありました。だから合成、CG、撮影のどれがいいのかというのを考えながら作るという事を始めたのが2006年頃からで、CGソフトの性能やマシンのパワーが追いついてきて、3Dの割合が増えてきたのが今日この頃です。

インテリアCGは天職だと思った

〇スタジオテックには2013年の中頃に入社しました。僕は元々建築パース屋だったのでカメラ・撮影に関してはこの会社に入るまで詳しくなかったんですけどね。
若い頃は転々としていて、1997年頃から9年、オーストラリアでグラフィックやイラストレーションの勉強をしていました。電気施工屋さんとか、デザイン会社に入ってみたりだとかしてました。
そのあとは沖縄に移ってバイトをしながら暮らしてたんですけど、内地から喫茶店などの飲食店を始めるためにやってくる人が結構いたんです。そういう方の名刺やお店のメニューやカタログなどを作っていました。
その時は趣味としてCGをやっていたので、島の建築士さんに営業へ行って建築の知識を学びながら富裕層の方向けのモダンな別荘の建築パースを制作したりもしてました。
その間にインターネットでCGの画像をアップしてたらShadeのe frontierの方から連絡を頂いて。本やビデオ出したり、講演に行ったりっていうのを始めました。それが27歳くらいだから、2008年頃かな。そのタイミングでCGの波が世間に来たんです。とにかく勉強してフォトリアルに作れるようになったのがその頃で。ある程度できるようになってきたら仕事をもらえるようになって。狭い世界でしたが知名度が高まっていたなあと。
2010年くらいに内地に戻って、大阪でフリーランスで建築パースを続けてたんだけど……
建築パースの業界で大事なのはスピードとコストで、期待感を持たせるためにフォトリアルにしない方がいい場合もある。リアルに作ると完成予想図なのか何なのかわからなくなるし、出来上がりが違った場合にクレームになるからむしろリアルじゃない方がいい。でも俺はフォトリアル派だからそれが苦手で、凄いジレンマでしたね。
それでもフォトリアルの美しさを追及したいと思ってたらCGの勉強会でスタジオテックの従業員だという人に知り合ったんです。それが今の始まり。
スタジオテックはインテリアの撮影会社で、リアルを求められるし、時間もある程度かけてもいい。建築CGなんて建築パース以外無いだろうって思っていたのでこんな会社があるんだって思いました。建築パースの4倍の納期がもらえて、収入も当時フリーランスでもらっていた金額よりも5倍くらい多いのに、「すみません安くて」って謝られたりして。あっ、これは凄い天職だな!って思いました(笑)
それからカタログ系のCGに移行しようと思って勉強したんですけど、建築パースとはノウハウが全然違って。建築パースは建築、空間を見せなきゃいけないので基本広角、演出はある意味自由だったのに対して、インテリア・写真業界っていうのは商品が床や壁なので、床しか見えないアングルだったり、柄が歪んで見えてはいけないから広角はあんまり使ってはいけなかったり、ライティングが独特だったりとか、当時の僕からしたら信じられなかったです。だからリアルにはできるけど写真としてのクオリティはまだ低くて、戸惑いながら最初は一からライティングや写真の基礎を勉強をしていきました。

クライアントが求めているのはかっこいい写真

■もし100件の仕事があったとしたら今の作成比率はどんな感じですか?
〇うーん、もし、100カットあったとしたら……90カットは撮影だと思います。残りの10カットが3DCG。で、その90カットのうち3分の1くらいが合成かな。写真って1日に1枚でも20枚でも撮れるじゃないですか。だからカット数稼ぎやすいんですよね。僕らが年間で作っている画像って、全部で…数えきれないけれど恐らく約5000枚位。
でも3Dはその1枚に対して時間がかかっちゃう。なので基本は撮影で、それが難しいようであれば合成もしくは3Dでいきましょうっていう位置づけです。回転が速い撮影が一番費用対効果が高いんです。
撮影は撮影でロケハンだとか下準備の手間がかかって大変なんですけど、クライアントはただかっこいい写真を求めているだけなので、撮影・合成・CG、どう対応するかはこちらから提案することができます。ここでクオリティを落とさずに作業負担が軽くなりそうなものを挙げるんです。依頼内容を聞いてみて、カット数が多い時や、合致しそうなロケ場所があるなって思った時は撮影にしています。なので逆に撮影が難しそうだったり、カット数が少ない時はCGですね。
具体的には、システムキッチン、システムバス、洗面など商品自体が凄く大きい場合、撮影は大変なのでCGで対応します。撮影するとなると組んで解体してを繰り返した上で全部廃棄になるし、そのためだけに使うのももったいない。セミオーダーも多いし、そもそも一度組んだものは防水の保証ができなくなるので売ることもできない。だから廃棄するしかない。環境にも良くない。稀にショールームで流用されることはありますが滅多に無いです。
それからCGでは什器、……それから硬いものに使いますかね。無機質なもの、大きいもの、硬いもの。カッチリと形が決まっているものは表現しやすいのでCGで対応することが増えています。逆にやわらかいものや自然物は表現が得意じゃないのでカーテンはCGではやらないですね。あとはモデルさんを入れる必要があるときとか、CGでは表現が難しい雰囲気をどうしてもださなければならない場合は撮影しています。

■写真や絵に対して、僕の目利きと三澤さんの目利きでは大きな差があると思うのですが、僕からすると三澤さんのCG作品は写真と差は無いんですよね。だから、表現ができないものがあるっていうイメージが無かったです。
〇全体的には目は超えていると思うんですが、商品に関してはやっぱりメーカー担当者さんの方が繊細というか、素材の質感だとか、色の違いに敏感に結構気づかれるんです。合成した際の柄サイズの若干の違いを指摘されることもあります。

10年前の作業環境と当時の3Dソフトについて

〇あの時僕のなかで3Dソフト戦国時代みたいなイメージ合って。
国内フリーランスは圧倒的にShadeユーザーが多くて、でもその中で「CINEMA 4Dっていうのがあるんだよ」とか、「Maxっていうのもあるよ」「Mayaは高価だな」とか。どれがいいんだろうっていう話を皆してましたね。
僕は最初はStrata使ってたんです。
フリーランスやってた15年前頃からはWindows XPで15万円くらいで買ったノートパソコンとShadeで仕事してました。インターネットが普及して、情報が入るようになって。国内産が流行ってたけど海外にも目を向けたらすごいマシンやソフト沢山あるじゃんって。海外に目を向けだした頃からあまり国内産を使わなくなった。
その時の Shade ってシャドウリーク、ライトリークがひどいラジオシティで、下手するとレンダリング所要時間35日とか出ちゃうからどうしたらクオリティを落とさずにレンダリングスピードを短くできるか、最適化できるかっていうのを研究しまくってた。ラジオシティの最小・最大サイズとか、パラメーターはどういう計算のアルゴリズムなんだろうっていうのとか、何をするとスピードが速くなって、その分どうクオリティが下がるのかっていうのを全部洗いだしたり。
本を書かせてもらうってなった時に、嘘は書けないっていうのもあるけど、それが今に活きてるかな。
あの時代を知らないでCGをやっている人たちはマシンパワーに助けられてるからレンダリングのパラメーターをなんなのかわかっていない人が多いよね。ある程度デフォルトの設定でそれなりにできちゃうから。
テストレンダリングをして「速くなったな」って試してみるよりかはもうやっちゃった方が速い時代になっちゃった。

作業環境をCINEMA 4Dに変えたきっかけ

CINEMA 4Dに変えたのはフリーの時。僕がShadeでリアルに作る方法を教わった、インテリアCGの師匠的な人で日比隆志さんっていう方が居るんですけどね。この人がある頃MODOに移行していったんです。
それで実際に調べてみたらShadeはエントリークラスだったんですね。MAXとかMAYAはハイエンドで、買える値段じゃなかった。だったらミドルクラスは、っていったらそこにLightWaveがあったりCINEMA 4Dがあったり、MODOがあったり。この辺りがフリーランスで一番使いやすいかなって思って。じゃあどれがいい?って相談した時には「モデリングに力入れたいんだったら確実にMODO。インターフェース、モデリングのやりやすさっていうのを独自に研究してるMODOの勢いが凄い。ただVrayを使いたいのなら CINEMA4D がいいんじゃないか」って。
当時CINEMA 4Dは一番使いやすいインターフェースって言われてて、感覚的に使える。アイコンとかも見ればわかるって。だから選びました。

■Maxwellには行かなかったんだ?
〇Maxwellは……もちろんMaxwellは魅力的なんですよ。すごい魅力的なんですけど、クオリティのコントロールがし辛くて。ただひたすら綺麗っていう趣味の範囲で使うんだったらいいけれど。今はまだ仕事には使えないよねっていう。
Maxwellも使ってみたんだけど...ノートパソコンだから。終わらないから。だから最終的にはCINEMA4Dモデリング、V-Rayレンダリングになりました。CINEMA 4D買ったときに一緒にV-Ray買いましたね。今も同じ環境です。

作業マシンと画竜点睛について

■レンダリング設定を考えて時間短縮しようと研究されてたじゃないですか、途方もない時間を費やしてたと思うんですよね。なのにパソコンのスペックを上げようっていう発想に行きつかないっていうのがね、面白いなって(笑)
〇沖縄に住んでいた頃は引っ越しが多くて、面倒臭いって理由でノートを使ってました。でもそもそもデスクトップとの違いってそんなに詳しくなかったんです。ノートの方が値段が高かったんでこれでいいかなって。あと僕の性質的に目に入ったものを追求するというものがありまして(笑)目に入らないところは全然気づかないんですよね。

■そのデスクトップは何買ったの?
〇内地に戻ってきた2000年頃、BTOパソコンっていうのが世間に広まりだしてて。パソコン詳しい人からしたら当たり前だったのかもしれないけどそれまでは店頭に置いてあるようなものしか買ったことがなかったから、その時にこういう選択肢があるんだって知って何かしらのBTOを買った覚えがある。それは25万くらいだったかな。どこで買ったは覚えてないけど。
パソコン関係は素人ですが画竜点睛について率直に言うと、レンダリング時間が今使ってるマシンよりもかなり速くなってます。ベンチマークが全然違いますね。例えば、以前買わせてもらったのが2分かかって、他社マシンだと1分30秒くらい。これが今回のマシンだと1分10秒くらい。大分速くなりました。
CORONAなんですけどV-Rayで試してみても良かったですね。CPUも違うんでしたっけ。

■今CPUとGPU、どっちが速いんだろうって検証中なんです。今のV-RayってCPUとGPUでレンダリング選べるんですよ。GPUの方がやっぱり2、3割速かった。条件とか色々あるとは思うんですけど。V-Ray使うんだったらある程度性能の高いグラフィックボードを使う必要があって、CORONAはCPUレンダリングで正解なんですよ。因みに他社マシンの価格はいくら位だったんですか?
〇約70万円です。あれは一年前購入したものだから性能も違ってくるかもしれないですけど、それが60万くらいであのスピードが出るのであれば性能向上分と値段が下がった分大分良いですね。

■プレビューの時間を1日に換算すると1時間2時間。更に月換算すると平気で2日3日かけてることになるじゃないですか、あれをいかに短縮するか考えてたんです。できた2、3日に仕事が入れられるならば、速いパソコン買っちゃった方が安いよね。
〇そこは経営判断があるので僕からはなんとも言えないですけど、僕の中では、例えば30万のパソコンをやめて倍の値段のパソコンを購入したことで、ムービーの仕事が安易に受注できるのであれば、その仕事1回でもうペイできるだろうと。受注量に対して困ってない場合であれば投資の形として一番分かりやすいと思います。それを導入したことでどんな案件が手に入るのか、どれくらい時間短縮ができるのかということをある程度プレゼンして頂けたら会社の決済は下りやすい。
以前、弊社の大阪スタッフがCINEMA 4Dの上位バージョンが欲しいと言い始めて。「今あるもので十分でしょう」って却下したら「このバージョンを買えばこれだけの時間短縮をすることができます」って資料をまとめて渡してきて。「…じゃあ、いいんじゃない?」っていうことがあった(笑)
僕個人としては、安い買い物じゃないから個人じゃ手は出しにくいけど、企業だったら、それを使い続けて絶対ペイできるだろうなあっていうものだったら、買ってしまった方がいいと思う。

■今回の製品で、僕が画期的だなって思うのは、同等スペックの他社製品の価格が100万円くらいなのに対して、50,60万くらいで買えてしまうってこと。つい1、2年前はスペースラボはそういうのを山ほど投資をしてたんだけど、今使ってるマシン……AMDのCPU無しでやってたら投資額が年間1000万、2000万違ったなと思うんです。
〇それってCPUが同じランクなのにAMDのCPUは半額くらい安いってことですか?

■そう。100万のやつが50万で買えるって大きいよね。10台買っても500万で済んじゃう。桁も変わってくる。同じ投資額でも生産性が2倍上がるって凄く大きい。そこが今回一番の魅力で。……このマシンがスペースラボのアドバンテージの1つでもあったと思うんだけどね。

まだCGは写真ではない

■三澤さんは1枚製作するのにどれくらいの時間をかけるんですか?
〇インテリアで大体1週間?レンダリング時間は平均で10時間くらいじゃないですかね。
最高品質解像度だからそれなりにかかるんですよ。昔のクオリティで今やると1,2時間くらいで終わるんですけど。マシンの性能が上がって、ソフトも上がれば、要求されるものも上がってくるから結局時間は短くなっていかないんですよ。お客さんの要求に追いついていくためにはスキルも上げていかないといけなくて。
レンダリング時間が半分になっても、その分クオリティを上げろって言われることになるのがうちの業界だから、作業に1週間かかるところが半分になることは多分無いでしょうね。

■例えば、三澤さんほどのレベルで、あとクオリティを上げろって言われたらどこを上げます?これ以上無いっていうくらいリアルじゃないですか。
〇沢山ありますよ!沢山。角度が浅くなればなるほど反射率が上がるっていうフレネル反射も昔は知らない人が多かったし、 表現できるソフトも少なかった。何がリアルに見える要素で何でリアルじゃないのか?というのを世の中の人がまだ完全に認識できていない段階 ではまだ CG は 100% ではない。
写真のリアリティ、クオリティを100%だとしたら、CGは60%くらいじゃないかなあって思ってて、その中でもレタッチとか本人の腕に左右されるようなものが40%は占めてるんです。だから目を肥やすのに沢山のCGを見るんですけど、「これは写真?CG?」って思うものも沢山あるんですね。でも「あっこれ絶対写真 !」って思ったものはちゃんと写真なんです。写真かCGか判別できないCGはあっても、写真をCGだと間違えたことは今までない。それが写真とCGの差だと思ってます。
リアルってなんでリアルに見えるんだろうって技術、研究もまだ進化途中だと思うんです。
2000 年代初頭って SSS があまり普及してなかったんですよ。あの頃めっちゃリアルなフル3D映画が作られたんですけど、ほぼほぼ完璧に仕上がってるのに何か気持ち悪かった。あの映画の登場人物がどうしても人に見えなかったのは、SSSが使われてなかったからなんだと思うんです。それって、今の僕らなら「SSS使ってないじゃん」ってすぐわかるんですけど当時は何か分からなかった。知識として広まると皆が認識できるようになる。全員が事細かに認識できるようになるのがリアリティー技術の進歩だと思ってて。
例えばこの会社に入ってひとつ覚えたのが、写真だったらどれだけ全ピンを頑張っても、確実に被写界深度っていうのが存在するということ。レタッチャーに「CGって気持ち悪いですよね、全ピンだから」って言われても分からなかったのが気になるようになったんです。確かに奥から手前まで全部が硬すぎる。だから目に分からないくらいうっすら被写界深度を入れることでリアリティがアップしたりとか。あと色収差とか。レンズの中で光が屈折して。……あれはさすがにレンダリングすると遅くなっちゃうからやらないんですけど、あれを実際テストで入れてみたりすると、リアリティが一気に上がる。
今一番使いたいのが、コースティクス。例えば、物体に光が当たるとちらちら反射するじゃないですか。あれ CORONA でも V-Ray でも基本設定ではあまり表現できなくて、だから鏡を置いたとしてもそこに光は跳ね返らないんですよ。
GIは計算できるけど、光自体の跳ね返りは出せない。それをV-Rayでやるためにはフォトンを使わなければいけない。
でもフォトン使ってレンダリング試したら、クオリティにムラがありすぎて実用的だとは思えない。
それを消すためには普通の30倍以上のレンダリング時間がかかるし。CORONAはどうかというと、基本設定をいじって調整して上げる。でもそうするとそれだけでレンダリング時間が数十倍になる。だからとてもじゃないけど...でもやっぱり使いたいじゃないですか。光沢のある床に光が差し込んで、そこにちょっとしたムラがふわっと出てて……っていうような綺麗な、写真だったらできること。
それを表現する為にはソフトがもっと効率的に計算できるようになる事と、マシンパワーが十分にあるということが必要。マシンとソフトが同じ速さで進歩していってくれたら...って思う。
レンダリングソフトって新しく搭載された機能が使えないことが結構あるんですよ。搭載はされてても説明書にはほとんど書かれていないとか。実際計算してみたら恐ろしい程の時間がかかっちゃうとか。ソフトエンジニアってこだわりがあるだろうし、表現したいものを表現したいから一応搭載はするんだけど、ビジネスだから皆が一番使うものから最適化していかなくてはいけないじゃないですか。だから一見素人は気づかないところ、あとメジャーじゃない機能は後回しにしてるんだと思う。
3DCGの表現はコストパフォーマンスがいいものからCGソフトは搭載していってると思うんですよ。
SSSよりも、もっとまず大事なレイトレーシングから、みたいな。
SSSが当たり前の時代になったらSSS使わない訳にはいかないじゃないですか。それを使うためにはマシンパワーもいるだろうし、大体同じスピードで進歩していくんじゃないかなと思っていて。今のCG作品がほぼほぼ完璧に見えても、掘り下げてみるとまだ使いたいけど使えてない要素、人間がまだ気づけていないリアルに見える効果ってまだまだあると思ってます。

今後のCGについて

知識が無い人でも簡単に触れるシンプルなパースソフトってあるじゃないですか。でも、あれがどんどん進化して、それこそパース屋さんに出さなくても誰もが建築士レベルで作れちゃう時代がもうすぐ来るんじゃないかと思ってます。
だからリアリティを財産にしては駄目だって思ってます。その時の為にセンスとライティングを財産にしようって。

■センスとライティングになってくると、もうカメラマンですね。
〇そうです、カメラマンなんです!だから写真がうまいかどうかだけで決まる。そういう意味では、うちは同じ作業スペースにカメラマンとかスタイリストがいるし、撮影現場を見る環境もあるから、表現技術の吸収には有利だなって思ってます。

CG制作とマシン

〇パソコン詳しい人達の中で、一つのレンダリングの中でも光の計算はここ、屈折系はパソコンのこの部分で計算する、というようなことは分かっていないんですか?
■そこまでは調べてこなかったんですけど今回いろんな検証をやってて。
簡単に言えばですが、レンダリングに関わる部分なんてのはCPUとGPU、あとメモリなんですよ。それらは意外と100%のパワーで動いてないんですよね。CINEMA 4Dで今回分かったのが、レンダリングでメモリは大して使わないんですよ。かといって無いと困るんですけど、64GBも要らないです。下手したら最近標準で入ってる30GBとか20GBとか全然要らない。メモリに投資するんだったらHDDとか買った方がいい。CORONAも検証したいね。
〇でも100%使われちゃったら裏で他のソフト使えなくなっちゃうんじゃないですか?今はサクサク使えてるし、100%はなってないんですけど。

■裏で他の作業ができてるということは、そのマシンはフルにレンダラーを活かしきれていないですね。
〇V-Rayは昔、他のアプリケーションを優先するかしないかチェックボタンがあったんですけど…CORONAにもある気しますけど。CORONAはねえ、情報がねえ、全部英語なんですよね。ああ見てみよ。ちょっと興味わいてきちゃったなあ。

インタビュー:柴原誉幸
記事作成・写真:米田梅子

スタジオテック 三澤 崇史 さん

1980年岐阜県生まれ。東京在住。
海外でイラストレーションやデザインを学び帰国。2007年からフリーランスとしてグラフィックデザイナー、CGデザイナーをするかたわら、解説本の執筆やセミナーでの登壇など精力的に活動。2014年にスタジオテックに入社しインテリアのカタログCG制作を多数手がける。現在は3DCGスタッフの統括や執行役員として会社経営に従事。人々から地獄のミサワとよばれる。

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